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ライコウスクロール -Raikou's Scrawl-

Idol Manager アイドルマネージャー

・Idol Manager (アイドルマネージャー) (2021)



 今現在、日本のアイドルを題材としたゲームは大量にあると思うが、過去に自分がプレイしたことがあるのはXbox360版とPSP版の「アイドルマスター」(略:アイマス)のみだった。
アイマスにおいて、プレイヤーは「プロデューサー」ではあるものの、実際にプロデュースする要素はアイドルと楽曲と衣装の組み合わせを考えるぐらいで、
ゲーム全体の比重はライブとアイドルとのコミュニケーションに重きを置いていたように思える。どっちかというとキャラゲー寄りと言っていいと思う。
(本当の意味でのアイマスにおける”プロデュース”は二次創作の盛り上がりだったと思うが、それについては別の話なので割愛)

他にもアイドルを題材とした様々なゲームがあると思うが、どれも歌って踊るアイドルを眺めながらリズムゲームをするような内容が大半だと思う。詳しくないけど。


 そこで、「Idol Manager (アイドルマネージャー)」の登場である。
このゲームはタイトルこそ”マネージャー”とついているものの、プレイヤーは実際にプロデューサー的な業務に追われることとなる。アイドルのライブを見ながらリズムゲームをしたり、レッスンがミニゲームになってたりはしない。

プレイヤーはまず自分がプロデュースするアイドルをオーディションで募る。するといくつかのパターンの組み合わせでランダム生成されたアイドルが登場する。
資金の許す限り、何人でも(最大60人くらい?)雇うことが可能だ。とはいえ、最初は3人くらいで進めつつ、グループの成長に合わせて少しづつメンバーを増やしていくのが定石だろう。

アイドルを雇ったら早速働かせる。約1日に1回、公演(お金が稼げる)、宣伝(ファンが増える)、スパ(お金を消費して体力が回復する)のどれかを選ぶ。

次にスタッフを雇う。最低限必要なのはマネージャー・作曲家・振付師の3人だ。これにプレイヤーであるプロデューサーを加えた4人がいて、はじめてCDをリリースすることが出来る。
どんなCDを作って売るかはすべてプレイヤーが決めることが出来る。
タイトルや曲のジャンル(ポップスや演歌やロックなど)はもちろん、振り付けや作詞のイメージ、販売方法(握手券をいれたり、PVを作成したり、炎上マーケティングなんかも可)を決める。
これらの要素とアイドルの能力の組み合わせで、売り上げやアピールする客層が変化する。

CDの売り上げは基本的にファンの総数に大きく影響される。そのため序盤は宣伝活動を執拗に繰り返すのが成功の近道だ。
設置に多少お金はかかるが休憩室があるとスパを利用せずとも体力が回復していくので、忘れずに序盤に作っておきたい。

アイドルグループのイメージを決めることも重要だ。
衣装をスカートにするかパンツスタイルにするか、メンバーのSNSや動画投稿を許可するかしないか、恋愛は自由か否か……。
そこらへんがランダム発生するイベントに影響し、スキャンダルやハプニングでファンが増減したり、アイドルのメンタル値も増減したりする。


とにかくきちんと「プロデュース」できるのだ。

ああ、自分がプレイしたかったアイドルゲームはこれだ!!と確信したのである。



ただし、このゲーム、欠点もいくつか……いや、沢山ある。
インディーゲームということで、とにかく全体的にマンパワーが足りていないのだ。

ピクセルアートは美しいがパターンが少なすぎるし、サウンドはハッキリ言ってあまり良くない。(タイアップ曲はまあまあ良い)
キャラクターやイベントのイラストはインディーとしてはかなり美麗で量も多いが、それはあくまで「インディーとしては」で、
一本のゲームとしては物足りない部類だろう。
ストーリーもやや衒学的でイマイチと言わざるを得ない。ランダムイベントは妙にリアリティがあってちょっと面白いが、結果が固定されている選択式なのは残念だ。
システムも細かいバグが多数あるし(徐々に改善はしている)、各種メディア関連やワールドツアーなどリスクとリターンのバランスが取れていない箇所が多数見受けられる。
アイドルの特性のバリエーションも少ない。
肝心の経営面も、序盤の資金難を乗り越えれば、あとはヌルゲー化するバランスも良くないし、
例えばフットボールチームをマネジメントするゲームのように、短期目標・中期目標・長期目標が設定されていないせいで、プレイにメリハリが生まれないのは明らかな欠点と言わざるを得ない。


あらゆる面においてパワーが足りていないため、このゲームの楽しみ方は、ファミコンやスーパーファミコン時代のSLGのように、
「キャラクターの活躍や人間関係を想像して楽しむ」
という、とても懐かしいスタイルになってしまっている。(それはそれで楽しいのだが)


要するにすべてにおいて改善の余地がある。
欠点を解消し、全体的にパワーアップした続編を作ってもらいたい作品だと思うし、
あるいは(こんなことを言うのは良くないが)、もっと資金力・開発力のあるメーカーに同系統の作品を作ってもらいたい、とも思った。
コンセプト自体は最高に良いのに、それ以外が全く追い付いていない、非常にもったいないゲームに感じた。


とはいえ、2000円程度で数十時間楽しめるので、コスパはとても良い。
ゲーム序盤の資金繰りのバランスはかなり絶妙になっていて、トライ&エラーで自分なりの最適解を見つける作業も楽しい。
自分だけのアイドルグループを「想像して」楽しめる素養のある人は、一度プレイしてもらいたい。



余談だが、上記の問題はMODである程度は改善する可能性があるのだが、現状のワークショップの有様ではそれもあまり期待できない。
返す返すももったいない作品だと思う。

* * *



by raikou_ff | 2021-09-25 12:13 | 最近プレイしたゲーム

こんにちは。頼光(ライコウ)と申します。ゲームの話が中心。イラストはtwitterのほうに置いておきます。     

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